天才少女科学者シャラナ（お気楽）と、無敵だけど腰の低いバイオ・ヒューマノイドのフィル（♀）、美貌のアル中　ロチェスター伯爵（実は本物の伯爵のクローン体。女装癖あり）。
　諸般の事情で家族となった三人だが、ある日、シャラナが誘拐されて……誘拐犯たちにとっては、つらいつらい忍耐の日々が始まる。

　１９９１年４月、上半期コバルトノベル大賞で佳作に入った短編「パラダイス・ファミリー」（未刊行）の続編。展開が早すぎて目が回ると評判の近未来アクションＳＦ。面白いけど日本語がへたかも。

　シャラナ・シリーズ続編。今回は…
　「怪盗ルパン」シリーズにハマッたシャラナが、バイオ・ヒューマノイドに関する重大な機密を伯爵所蔵の絵画に隠した。しかし、フィルの運命をも左右しかねない機密とともに、絵画は巡回美術展に貸し出されてしまう。
　絵画と機密を取り戻そうとするシャラナたち。贋物を掴まされたり、機密を狙う闇の組織と対決したり、シャラナが東洋系美青年に一目惚れしたり……大忙しのわりに展開がのろい、執筆ものろい、これは何の呪いか？

　今はもう海に沈んだ大陸　シュリスタールを舞台にしたファンタジー。
　奴隷兵士から大陸一の髪結い師に成り上がったアシュリ・ハーンは、幼い日に離ればなれになっていた少女レーナと再会するが、彼女は精霊を祀る大祭司となることを運命付けられていた。
　宮廷と神殿を巡る陰謀、親友の裏切り、過去の悪夢から抜け出そうともがく陰気な主人公。暗くて、たるくて、地味だけど、少しは日本語が上達してきたらしい。

　初挑戦のオカルティック・ホラー。
　記憶にない「幼なじみ」、ノエルの出現とともに、裕哉の周りでは不思議な事件が起こり始める。「魔的災害が始まった…」とつぶやくノエルに、裕哉は反発するが、魔の手は容赦なく彼らを追い込んでゆく。
　科学では割り切れない存在の神秘。悪魔は実在するのか？

　最後まで読んでも、やっぱりオカルティックで合理的な説明にはなってないので、素朴実在論的科学信仰者には嫌われそう。ストーリーの対象年齢に比べて、扱ってるテーマの対象年齢がかなり上にズレているらしい。
　でも、上出来でしょう。

　ルシカは浜辺の洞窟で、「花たばこ」をふかす魔法の竜に出逢うが、イードのばあちゃんはその竜を知っている様子で…

　佳作入選後の、いわゆる「受賞第一作」。
　ＰＰ＆Ｍの「パフ」っていう魔法の竜の歌をご存知ですか。そのメロディが鳴る、赤いドラゴンのオルゴールを持ってるんだけど、このパフ子ちゃんがクリスマス仕様の三角帽子をかぶって、メロディに合わせてゆっくりと首を回す。暗い部屋でパフ子と向き合って一緒にゆっくりと首を回すことを、我が家では「パフ化する」と呼んで怖れている。どうでもいいけど。

　育ててくれたお祖母ちゃんが亡くなり、ジェフリーは教会の神父さんの元に引き取られる…が、このハンサムな神父さん、実は男色家。教会を逃げ出したジェフリーは、一枚のハガキをたよりにまぶたの父を捜しにゆく。たどり着いたホテル・バレンタインで彼が出会ったのは、はちゃめちゃなバカ騒ぎとイカレた連中、そして「三千世界の放浪者」、ルービィ・ジェイだった…

　高校時代、都内のへんぴな映画館で見た三本立てのロック・ミュージカルの一つ、「ロッキー・ホラー・ショウ」が、すっごく楽しかった（あと「ゴッド・スペル」とかジーザスとかクワトロフェニアとかトミーとかも）。そんな、おバカな雰囲気。

　開拓移民として火星にやってきたエリィとユキヤさん。けれどある日、地球からの衛星テレビが砂の嵐になって黙り込んだ。地球で何が？支援物資が途絶えた火星から、移民たちはつぎつぎに引き上げてゆくが、エリィとユキヤは畑を耕し続ける。ついに食料庫がからになり、二人は「最後のおにぎり」を持って、無人のマース・シティ、荒れ果てた宇宙港を歩く。彼らが最後に出会ったのは…

　終り方が暗いわりに、珍しく評判が良かった。このくらいのレベルが量産できたらいいのにねぇ…。