Dust thou art, and unto dust shalt thou return.
2000/12

月の揺りかご 波打ちぎわの棺
どちらにも 同じ一つの言葉が眠っている
 
雲と夜空の境界が
月に照らされて淡く光る
思い出しかけた 手触りのように
  ベランダで
パラボラとがん首並べて
天体観測
  きのこ たけのこ 誰かの子?
鹿の子しぼりに 亀の子たわし
だいじな虎の子 正月数の子
  忘れたいことよりも
忘れたいと思う心が
もっと苦しい
  「ちっぽけな勇気だよ。
正しさは あんたの中にある」
山の精気が濃く満ちる
触れれば 言葉が染まってゆく
そこはかとなく
はてしもない
降り積む楽園の灰は
「恐怖の内臓改革...!?」
「いや、第二次改造内閣」
「あぁ、それで汚職事件」
「いや、ただのお食事券」
天に栄光 地に平和
すべての罪人のために
救い主の来たりたもう夜

気が付いたときには
無力感で身動きも出来ず
生き返るためには
誰かの命を代償にしてしまうほど
自分がわからなくなっている
お前はお前の戦場を行け
誰も気付かぬうちに
声のない屋根屋根に
言葉が降り積もっていた

追想の春の野辺
永遠の日溜まり
過ぎ去った景色の中にだけ宿る
幽かな響き
 
なにあせっても
らちもない
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他にどうしようもなかった。
そんなものだった。
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