Dust thou art, and unto dust shalt thou return.
2000/6

ほら、雨の日には閉め切った部屋に
言葉の幽霊たちがやって来るよ。
世界の天井 アイスクリームの午睡
 降る花日和 紙細工の群舞
そうしてこの窓は
 飲み残したシャンパンのよう
夏至の夜過ぎて、鳥の啼く、啼く
空は夏、夏の朝よ、眠らで眺む
短か夜の、しびるる涙、しをしをと
裾ひきて、くたるる躰
削土児もて、埋む言いぐさ
前方に灯りを掲げて進めば、
巨大な影は私の後をついてくる。
TOP
魂の欠けたところにだけ
降ってくるものがある
月曜は間違い電話が多すぎる。
拒まれた花嫁のその後。
他人の目と取替えた詩人の話。
一生の間ただ一曲の歌しか歌えないという呪い。
刺されると不死になる剣で不死身になった臆病者。
藤棚を抜ける風 金属臭の雨
 繰り返す問い (聞えない応え)
そうしてこの日々は
 とうに終わったライヴのチケットのよう
ゆうべより山が近く、雨の降りする。 こんな日は
頑是なく、お前啼きする。 飽きもせず
梢には、鈴の揺れする。 緑泡立ち
山また少し、近く寄りする。 雨降りもする。
この国には美しい建物が見あたらないので
美しいと思うと既に老いてゆくばかりなので
美しいとはどういうことか忘れてしまいそうで
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身体が床の中に沈み込んでいきそう。
何とかならないのか、このひどい重力は。
何とかしてくれないか、このひどい大気圧を。
紙飛行機の翼 鏡の中の坂道
 ヒヨコたちの解放闘争 今日の分の孤独
過ぎてゆく日々と 過ぎゆかぬ想い
調子外れの街並み 撹拌された幸福
 湖面を滑る魔法使い 姫君のお手柄
そうしてきみの声は
 遅れてきた招待状のよう
お前は黒い毛皮にくるまれているので
膝に乗られると暑くてかなわない
わたしは額に汗を浮かべて
お前の寝息を聴いている
排除されたものを知ることは、
排除する側の構造を知ることにつながる。
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あの夜、僕たちの希望は
空の星のように風にただよっていた
ヒトゲノム解読終了との発表。あーあ。